【洋書レビュー】FACTFULNESS(Hans Rosling)
はじめに
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最近まで私は、英語多読の中心を児童文学に置いていました。語彙や文法に無理がなく、継続のハードルが低いという点では理想的だったのですが、少しずつ 「読みやすいけれど、物足りない」 と感じる場面が増えてきました。
同じような表現や展開に触れ続けていると、ストーリーとしての感動はあっても、思考が刺激されにくい という感覚があったからです。
そこで、以前から気になっていた 『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』 に手を伸ばすことにしました。日本語版が広く読まれていたこともあり、以前から気になっていた一冊です。
これまでは、ビジネス書や教養書を英語で読むとき、一度日本語版で内容を把握してから挑戦することが多かったのですが、今回はあえて 日本語版を読まずに、最初から英語で読むことにしました。
読んでみると、確かに負荷はありましたが、その分「英語で理解する面白さ」を感じられる読書になりました。
どんな本か?
『FACTFULNESS』は、世界について私たちが持ちがちな「思い込み」を見直し、データに基づいて現実を捉える視点を提示する本です。
著者のハンス・ロスリング(Hans Rosling)は、各国の健康、教育、所得などに関する統計データを長年扱ってきた医師・公衆衛生学者であり、その分析をもとに本書が書かれています。
本書の中心的なメッセージは、次の2点に集約されます。
- 世界は、直感やニュースで受け取る印象ほど悲観的ではないこと
- 私たちは、情報に触れるとき「思い込みのクセ」によって判断を誤りやすいこと
こうした誤解を生む背景として、本書では10種類の「本能(instinct)」が紹介されます。
例えば、物事を単純化して捉えてしまう本能、恐怖に反応しやすい本能、誰かを“悪役”として想定してしまう本能などです。
本書は、
「楽観を促す」でも「現実を美化する」でもなく、
「事実を正確に見る姿勢」を取り戻すための思考の枠組みを提供している、と言えます。
英語レベルと読みやすさ(体感+参考指標)
実際に読んでみると、想像していたよりも読みやすいと感じました。語彙自体は難解なものが少なく、平易な単語が繰り返し使われています。また、本書は各章の最後にサマリーがあり、さらに「 データ → 解説」という構造が明快なため、論理の流れを追いやすいつくりになっています。
ビジネス書ではありますが、主張がぶれず、根拠となるデータが丁寧に提示されているので、むしろ小説より理解が進みやすい場面も多かったです。「登場人物を覚える」、「場面転換を追う」といった負荷が少ないため、読んでいて迷子になる感覚がありませんでした。
参考として、読みやすさの目安は以下の通りです(いずれも推定です)。
| 指標 | 推定レベル |
|---|---|
| CEFR | B1〜B2 |
| Lexile指数 | 1100L〜1250L |
※なお、Lexile値は本書に公式データがないため、文体・語彙傾向および類似ジャンル書籍との比較に基づく推定です。
多読のステップとしては、児童文学に慣れてきて、内容から学びを得たいと感じ始めた頃に、ちょうど良い一冊だと思います。
書籍情報(参考)
タイトル:FACTFULNESS(ファクトフルネス)
著者:Hans Rosling
出版年:2018年
出版社:Flatiron Books
ページ数:352ページ
ジャンル:ノンフィクション / 思考法 / 社会分析





