【洋書レビュー】”Wonder” (R.J. Palacio)

2025年8月12日

はじめに

『Wonder(R.J. Palacio 著)』は、映画化もされた世界的ベストセラーで、英語学習者向けの多読本としてもたびたび紹介されている有名な作品です。
多くのブログや学習書籍でも「読みやすくて感動できる」と取り上げられているのを見かけ、私自身もいつか読んでみたいと思っていました。

私は現在TOEIC800点台で、英語力としてはまだ学習の途上にあります。英文を読むスピードも決して速くありませんし、知らない単語に出会うことも多いです。
そんな中で、「有名だけど、自分にも読めるだろうか?」という不安を抱えながら、思い切ってこの本に取り組んでみました。

結果的には、難しいと感じる場面もありつつ、読み進めるうちに英語そのものへの抵抗感が和らいでいく感覚がありました。そして、なにより物語の内容に心を動かされました。

この記事では、多読初心者の立場から、『Wonder』を読んで感じたこと、英語レベルとしての印象などを率直にまとめてみたいと思います。

どんな話か?|"Wonder"のあらすじと特徴

『Wonder』は、顔に生まれつきの障害をもつ少年・オーガスト(Auggie)が、10歳で初めて普通の学校に通い始める1年間を描いた物語です。

それまで自宅学習をしていたAuggieにとって、外の世界=学校は大きなチャレンジです。周囲の子どもたちは、Auggieの見た目に戸惑ったり、距離を置いたりします。
しかしその中で、少しずつ友情や理解が生まれたり、逆に傷ついたりしながら、Auggie自身が成長し、周囲の人たちも変わっていくという、とても温かくて優しいストーリーです。

物語は、Auggieの視点だけでなく、姉や友人など、複数の人物の視点で語られる構成になっています。
それぞれの立場から語られる出来事によって、同じシーンでも見え方や感じ方が違うことに気づかされ、登場人物一人ひとりの背景にも感情移入しやすくなっています。

テーマは「思いやり」「違いを受け入れること」「本当の強さとは何か」など、英語学習者でなくても心を動かされる内容です。子ども向けの作品ではありますが、大人が読んでも深く考えさせられる1冊でした。

英語のレベルと読みやすさ(体感ベース)

私は英語の多読はまだ始めたばかりですが、この本は比較的読みやすいと感じました。
会話が多く、文体もシンプルでテンポよく進むため、英語への苦手意識があっても手に取りやすい作品だと思います。

注意点としては、物語の途中で語り手が切り替わる構成になっていることです。
油断して読んでいると、視点が変わったことに気づかず、話の流れについていけなくなることがありました。読む際は、章の冒頭で「今、誰が語っているのか」を意識しておくと、内容が理解しやすくなると思います。

全体として、私のように英語を勉強中の方でも無理なく取り組める一冊でした。

実際に読んでみた感想

物語を通して一貫して感じたのは、登場人物の誰もが完璧ではなく、それぞれに葛藤や弱さを抱えているということでした。だからこそ、どのキャラクターにも共感しながら読み進めることができました。

特に印象に残ったのは、Jack Willのエピソードです。
Auggieと友人関係を築きながらも、周囲の目を気にして思わず心ない言葉を口にしてしまう場面は、とてもリアルでした。Jackは決して理想的な人物ではありませんが、だからこそ彼の行動や心の動きには説得力がありました。

その後、Jackが自分の過ちに気づき、素直に謝る場面には強く心を打たれました。
Jackの行動を読んでいて、自分の小さい頃を思い出しました。
私自身も、周囲に合わせることを優先して、本心とは違う行動をとってしまった経験があります。その時の後悔や気まずさ、そして謝る勇気を持てなかったことなど。そういった感情が、Jackの姿に重なって見えました。
読後には、誰かに優しくしたくなるような、不思議な余韻が残ると思います。

書籍情報(参考)

タイトル:Wonder

著者:R.J. Palacio

発売年:2012年

ページ数:約320ページ(ペーパーバック版)

Kindle版あり

*単語数:75,909 words

*How Long to Readにて確認

Kindle洋書R.J. Palacio,Wonder

Posted by oki